3.「鎌倉陶園」
戦後、仕事を再開した久松さんのもとには、日本の陶器に興味をもった外国人が多数訪れました。昭和21年には、画家の藤田嗣治(ふじた・つぐはる)氏の訪問を受け、フランス風のディナーセットの製作を請け負ったそうです。
昭和24年から久松さんご自身も当地に移り住み、さらに製作にいそしまれました。海外に輸出された製品も多くあり、昭和32年には全国貿易展で受賞。また第一回米国世界見本市にジェトロ選定品として出品するなど、国際的な舞台でも活躍されました。
昭和30年代には、入口の赤レンガの煙突の下にもかまどがあったようで、ろくろ名人・小城久次郎さん含め5人の職人さんが働いていました。久松さんは量産を求められても、ホームメイドでアーティステッィクな製品であることにこだわり、作品には、当地でとれた土を釉(うわぐすり)としてかけた壺などもあったそうです。(2010/01/03)
※参考文献: 婦人之友社 昭和33年八月号「陶芸の美にひかれて〜工房での久松夫人の半生」