北鎌倉「円」の女将さんのお話
北鎌倉「円」は、北鎌倉駅を出てすぐ左手にある懐石料理店です。 上品な和食をいただけるお店としてミシュランにも掲載された、鎌倉を代表するお店の一つです。
その「円」の女将さんより、「お返ししたいものがある」との連絡を人づてにいただきました。 それがこちら。 昭和10年頃から40年代まで、たからの庭を窯場にしていた女流陶芸家、久松昌子さんが作った花瓶です。
女将さんのお父様が久松さんと懇意にしていて、女将さんも久松さんになついてよく遊びに連れて行っていただいたのだとか。 近年、偶然この花瓶を手にいれた北鎌倉の骨董屋さんから「北鎌倉の昌造ってどこの窯場かわかる?」と尋ねられて、「ああ、久松昌子さんが造った花瓶ね」とピンと来たそうで、たからの庭の窯のそばに戻してあげようと思いたたれたそうです。
戦前の作品なのに、なぜかオリエンタル風。 なんと昌子さんはドイツの血をひく方(クォーター)なのだそうです。 そして、久松家といえば伊予松山藩(愛媛県松山市)のお殿様。かなり奔放な女性で、お金に困っていても生涯運転手つきの車を手放さなかったというエピソードなどもうかがいました。
さっそく、花瓶をいただいて参りました。 1938年というと、昭和13年の作品です。 たからの庭の和室の床の間に据えておこうと思います。 また古くて新しい「たから」が増えました。(2017/05/18)